周りにANT組むとか組んだとかそういう人がちらほらいたので思い付きで久々に書いた
明確な回答ではなく、どのように考えるかの指針にしてもらいたい
更生無しの一発書きのため色々おかしいと思われるので指摘万歳(めんどくさいので直すかどうかはわからんw)
あと、超長文(1万6千字)なので必要な人だけ読んでもらえればと
(元データはWordなのでもし欲しい人がいたら送ります)
これ本気で書いたら10万字行くな~軽い小説クラスか

読むとANTを組みたくなる?導入書
第1章 ANTの回し方(基礎編)
1 構築の理解
ANTというデッキを使うにあたり、まずはこのデッキがどういうものなのかを理解する必要があるでしょう。まずは自分が使っているデッキのリストを見てください。

4Brainstorm(BS)
4Dark Ritual(DKR)
4Cabal Ritual
1Ad Nauseam(Ad)
4Ponder
4Gitaxian Probe
2Preordain
3Duress
3Cabal Therapy
1Thoughtseize
4Infernal Tutor
1Past in Flames(PiF)
1Tendrils of Agony(ToA)
1Dark Petition
4Lotus Petal
4Lion’s Eye Diamond(LED)
1Island
1Swamp
3Underground Sea
1Volcanic Island
1Tropical Island
4Polluted Delta
4Flooded Strand
※()内は略称。以下その略称を使用する。

このデッキは、「マナソース」と「潤滑油」と「ハンデス」と「爆弾」と「触手」で構成されています。
一般的なデッキのように、相手のクリーチャーを除去しながら自分もクリーチャーを展開して殴るというようなことはありません。
基本的なアクションは、「ハンデス」で妨害を落とし、土地と16枚のマナ加速という「マナソース」と「潤滑油」となるドロースペルや2種の教示者から速やかに、「触手」に繋げるためのAdとPiFという「爆弾」を通し、さらに手に入れた大量のマナ加速からマナとストーム(※同一ターン内に唱えた呪文の総数の積み上げのこと。キーワード能力であるストームからの俗語。)を得て「触手」を唱えるというものです。
これをすべて同一ターン内に行うことで、得たストームはToAをその能力により唱えただけで致死ダメージを与える必殺のスペルに変えることができます。
 レガシーに限らないことですが、構築のデッキにはLightning Bolt(以下Bolt)やSwords to Plowshares(以下StP)などの除去が含まれ、一切クリーチャーを採用しないANTというデッキは、それらのデッキに対してデッキ構築においてアドバンテージを得ていということになります。ゲーム開始前から有利に立っているといえるのです。
 そのため、数枚のハンデスで妨害をどかしきれるし、マナ加速という、本来何もしないカードを大量にデッキに入れていても、勝つことができるのです。
 これがANTです。

2 勝ち筋
基本的な勝ち筋とそのパターンについて解説すします。
既に説明したとおり、最も簡単なものが、マナ加速からPiFやAdを使用し、さらにマナ加速をしてToAに繋げるというものです。
実際にやってみましょう。
以下のとおりの状況で相手の妨害は一切なく、相手のライフは20という想定で始めます。
ハンド:Dark Ritual,Cabal Ritual,Infernal Tutor,Lion’s Eye Diamond,Polluted Delta
戦場:Underground Sea×2,Island(ともにアンタップ状態でセットランド済)
墓地:Brainstorm,Gitaxian Probe,Thoughtseize,etc(7枚以上)
妨害がないことから、処理は簡単である。以下は一例

1)Dark RitualをUnderground Seaよりキャスト(BBBが出る)
2)Cabal RitualをBBでキャスト(BBB→BBBBBB)
3)Lion’s Eye Diamondをキャスト
4)BBからInfernal Tutorをキャストした後で相手に優先権を渡す前にLEDの能力を使用してPolluted Deltaを捨てつつRRRを出す(BBBBBB→BBBBRRR)
5)Past in Flamesをサーチし、すぐにRRBBからキャスト(BBR)
6、7)フラッシュバックを得たマナ加速2枚を使用して大量にマナを得る(BBR→BBBBBBBR)
8、9)BBからTutorをフラッシュバックしてもう一度TurorをサーチしBBからさらにそのTutorをキャスト
10)TutorでTendrils of Agonyをサーチし、キャスト

これでストーム9のToAの完成。マナに余裕があり(VolcaとUnseaを使っていない)墓地にカードがある(BS,Probe等)ので、もし相手のライフが20より多くても勝つことができます。
 基本はこの過去ルートから勝つことになります。ざっくりとした目安は、マナ加速3枚+Tutorといったところでしょう。
しかし、ハンドに来たマナ加速がアーティファクトに偏っている(Lotus Petal,LED)時や、墓地を追放される危険があり、墓地を利用したチェインができない場合は、TutorからAd Nauseamをサーチして唱えることもあります。この場合は、マナとライフに余裕があれば概ね勝ちきることができますが、どちらか一方でも不足している(使用可能なマナ0やライフ10以下等)場合はライフが足りないことがあるため、どうしてもPiFが使用できない状態でしか選択しません。
なので多くのANT使いはAdルートが嫌いです。

3 ドロースペルの効率的な運用
ここまで、基本的な最終着地点について解説してきましたが、勝つためのハンドになるにはドロースペルの運用が必要不可欠です。ANTを使う上で、勝ちルートに気付くことは必須能力であり、皆が当然持っているもので(一部例外的な高難易度の盤面は除く)、実力の見せ場ではありません。そこに如何に至るかが最もスキルを要求されることになります。
その中でも、ドロースペルの使い方は、ANTに限らずコンボデッキの基本であり、いくつか定石があるので紹介します。もちろん例外はあるのが細かい部分についての記載は割愛。

1)Brainstorm
レガシー界最強の呪文。合言葉は「ギリギリまで使うな」。
3枚引いて2枚戻すという能力を一番効率よく活用することができるのは、有効牌3枚を手に入れて不要牌を2枚戻してからフェッチランドによりシャッフルすること。3枚引いた中に不要なものが混じる可能性もあるので不要牌が2枚になるまでとは言わないが、少なくとも戻したいカードがない状況で使うBSはただの1マナの無駄。
また、相手のハンデスに合わせてキャストすることでライブラリーのトップに落とされたくないカードを逃がすこともできます。
2)Ponder
ドロースペル4種類の中で、最もアクセス枚数の多い呪文。基本は、トップ3枚見て必要な1枚を手札に入れて、フェッチでシャッフル。必要なものが2枚以上ある場合は一番必要なものをトップに置いて次に必要なものを引いくことで、次のターンのドローなどで引いてコンボ始動につなげることで、ハンデスを回避しながらパーツにアクセスすることができます。
 アクセス枚数の多さから、どうしても今ほしい1枚があるときはどのドロースペルよりも優先されます。もちろん、必要なものが複数枚あるときはBSに頼るしかありません。BSさいっきょ。
3)Preordain
一番弱いドロースペル。一応、フェッチがないときなどにPonder等より使いやすくなることはあるが、大体弱い。フェッチのシャッフルと合わせる意味がほぼないため、1T目に使用するならどのドロースペルよりも優先されます。
また、フェッチがない状態でほかのドロースペルと併用する場合も、これを使用した後にPonder等を使うことで総アクセス枚数が増えます。
4)Gitaxian Probe
ただ1枚引くだけ。だが、その強さはPreordainを上回ります。このデッキにおいて、ライフはそこまで重要ではないので、これはライフを犠牲に相手の手札の情報を得て、ストームを1ためることができる優秀なドロースペルといえます。
ライフを積極的に攻めてくる相手に対しては1マナ1ドローに成り下がることもあるが、情報はMTGというゲームにおける疑似的なアドバンテージとなります。Cabal Therapyと合わせて相手のハンドから複数枚のカードを奪ったり、ストームを稼いで手札から直接ToAをキャストするために必要なストームを稼いだり、Ponder等と合わせてトップの必要なカード2枚を引き込んだり、様々な運用ができるが最も基本的な運用はコンボ始動の時の前方確認でしょう。
特に選択肢がなく、IslandからPreordainを使用することが決まっている1T目に無駄に消費して良いものではありません。自分の選択をより効果的なものにするために使用するスペルです。

以上の点について留意し、一つ一つのアクションについて最適な選択をし続けることでANTというコンボはようやくある程度の蓋然性を以て成立するようになります。基本的にはTutorを最優先に探し、そのあとでマナ加速などの端を固めるカードを見つけることとなりますが、状況によって探すものは変わってきます。細かい部分についてはあえてここでは説明しません。今どんな状況で何が必要なのか考えながらプレイし、迅速かつ的確なコンボの始動に努めていただきたい。その試行錯誤が楽しいので。

4 苦手な戦略
多くのデッキに対して、除去が入っている分だけメインデッキでは有利になりますが、もちろん不利な相手も少なくはありません。
その構造上、「0~1マナのスペル」を「大量に」使用する必要があり、「妨害排除手段がハンデスしかない」ため、特定マナ域を封殺するChalice of the Voidや、Thalia,Guardian of Thrabenの様な追加マナを要求するカードは着地=ほぼ負けを意味することになります。これらはそれぞれEldraziとDeath&Taxes等にメインから標準で搭載されているため、これらのデッキにはメインから簡単に負けてしまいます。
また、ANT相手に不要牌が少なく、Gitaxian ProbeとCabal Therapyによりクリティカルにコンボパーツを抜くことができるBUR Delverもあまり得意とは言えません。
また、これはコンボデッキの宿命でもあるのですが、自分より始動の早い、ReanimatorやTinFinsのようなコンボ相手にも妨害が間に合わず、不利になります。
もちろん、それ以外でも、Snapcaster MageとCounterspellで1対1交換を続けられたり、Hymn to Tourachなどのハンデスによってリソースを根こそぎ奪われつつDeathrite Shaman(以下DrS)により墓地のリソースを奪われて負ける(大量にハンデスされてもPiFを通常キャストで使用することで墓地にあるドロースペルの分だけカードを引くことができるがDrSによりそれも封じられる)など、メインデッキでも苦手とする戦略は多数環境に存在します。
自分はこのデッキが好きですが、非常に扱いが難しいうえに、上記のとおり、苦手な相手も多数存在し、決して強いとは言えません。流れるような美しいコンボであることは保証するので、それが好きで好きでたまらない人に是非使ってもらいたいです。

5 サイドボーディング
 レガシーにはANT以外にもいくつかコンボデッキが存在する。前述したように、コンボ以外のデッキの多くは、コンボに対して構築時点で不利になり易いことになります。それ故、サイドボードには多くの対コンボ用のカードが置かれています。
 メインボードでも常に勝てるというわけではないにも関わらず、さらに相手の不要牌が減るとなるとサイドボード後はいっそう勝ちにくくなってしまいます。
 そのため、ANT側のサイドボードはほとんどが相手の対策カードへの対策で占められており、そうでないものは概ね勝筋をズラすカードです。(一応、自分より早いコンボなどへのサイドボードもあるが、外科的摘出と狼狽の嵐程度である)
 しかし、ANTというデッキが、そもそもメインデッキで完成されており、60枚すべてが一つの勝ち手段に向かって構築されているようなものなので、サイドボードを入れすぎると、デッキそのものの機能不全を起こす可能性があり、基本的には近い目的のものをより効果的なものに入れ替えることになります。
 例を挙げるために自分の現在使用しているデッキのサイドボードを紹介します。
4Dark Confidant
2Surgical Extraction
1Chain of Vapor
2Abrupt Decay
1Ancient Grudge
2Pyroclasm
1Empty the Warrens(EtW)
1Liliana, the Last Hope
1Engineered Explosives(EE)
 4枚のDark ConfidantやLiliana,the Last Hope、Sensei’s Divining Topの禁止後にもかかわらずAbrupt Decayをとっているなど少し異質な構成になっているので構築においてはあまり参考にしないでください。
で、サイドボーディングの例ですがDeath&Taxesのような生物主体のデッキにはDuressは有効牌とは言えない。しかし、場に出てしまったThaliaやサイドボード後に入ってくるEthersworn Canonistはゲームを終わらせる力がある。というか除去しなけれな勝てないので、それらをどかすことのできるカード(Pyroclasm、Liliana、EE等)をサイドインすることになります。
また、このサイドボードであれば、Death&Taxesは除去がもともとStP4枚しかなく、サイド後であればそこからさらに減ることが予測されるため、Dark Confidantはアドバンテージを得ながら除去にアクセスするために比較的有効なカードであるので、必要牌へのアクセスという目的のなかで一番弱いPreordainなどと入れ替えてサイドインするでしょう。
全てのデッキに対するサイドボードのインアウトをここで表にするのは避けます。その表にとらわれて、相手が予測するデッキから少しズレていた時やTier下位のデッキに対応できなくならないようでは意味がありません。その都度、その時のメタゲームに合わせ、相手のデッキとプラン、サイドボードの候補を考え、どんなカードが有効か考えながらサイドボードを検討しましょう。

ここまで出来るようになって、ようやく初心者脱出というところでしょうか。プレイ頻度にもよりますが、地方のプレイ環境で、週1程度のプレイではここまで至るのに数ヶ月要するでしょう。ですが、勝った時の楽しさはもっと大きいので、諦めずに対戦を繰り返し、練度を上げていきましょう。

第2章(中級編)
1 予測と確率
Game1、先手、相手のデッキは不明でハンドがLotus Petal,Dark Ritual,Dark Ritual,Cabal Ritual,Lion’s Eye Diamond,Infernal Tutor,Ponderです。初手7枚に土地がありませんが、Lotus PetalとPonderがあり、土地にはアクセスできそうです。しかし、思い切ってDark RitualからInfernal Tutorまで繋げて、それが通ってしまえば、99.9%勝ちです。それが通ってしまえば。
 逆にInfernal TutorにForce of Willが飛んで来れば土地もハンドもなくなりデッキもバレたうえで99%負けるでしょう。
 あなたはこのハンドをKeepしますか?また、どのようにプレイしますか?
 Game1、相手のデッキはBUG Cascade、コンボを始められるようになった状態でDuressを使用したところ、相手のハンドはBS2枚とBaleful StrixとTarmogoyf。1枚は落とせるが、もう1枚のBSは残ってしまい、追加のハンデスはない。今回もInfernal TutorでPiFに繋げて勝つことができる状態ですが、ハンドに残ったBSが気になります。相手の土地は3枚アンタップ状態で、BSから何かしらカウンターが飛んでくるかもしれない。
 あなかたこのターンにコンボを始めますか?
 まれに、ANTはソリティアだと、壁相手でも変わらないなどと言われることがあります(実体験)。確かにコンボが始まってしまえばほとんど途切れることなくスペルを連打することにはなりますが、それに至るまでには無数の駆け引きが存在しています。
 セットランド前にPonderをキャストしたが悩まずに通したからDazeがないと予測したり、前述したような状況で相手に回答を引かれてしまう確率を計算したり、相手との見えない対話が無数に積み重なることでゲームが構築されており、始動後は1つの目的に向かってAll Inになることから、ほかのデッキよりもミスが致命的になり易く、繊細かつ正確な計算が必要なのがANTというデッキです。
 例えば、最初の初手Keepの状況ですが、環境に初手ぶっぱを止めるカードがほぼForce of Willしかなく、それを採用するデッキが仮に30%存在したとして、さらに初手の7枚にに特定の4詰みのカードが来る確率が約40%(39.95...%)であり、それらを、マッチ開始時点の情報がない状態での確率で計算するのであれば、24%。つまり、最初の初手は76%の確率で勝てるのです。その確率に賭けない理由は存在しないでしょう。そのままプレイしてもそれ以上の確率で勝つことができる人はいないでしょうし、マリガンしたらなおさら勝率は下がるでしょう。つまり。最初の問いは、迷わずにPetalからRitual連打しLED→Infernal TutorでWillされなければPiFで勝ち!というのが正解です。
 それだけの思考が、初手キープの判断だけで介入するデッキが、壁相手でも変わらないわけがありません。自分の感覚では、デッキが回るかどうか判断する程度は壁相手でも問題ありませんが、まともにプレイして勝つためにはソリティアを何回しても意味がありません。
 対戦相手のアクションや、見えない部分の確率を計算し、相手との駆け引きを行いつつ、総合的に最も高い確率を選択してプレイしていくのもANTの楽しみです。
 まるでポーカーの様ですが、個人的にANTのプレイとポーカーは非常に似ていると感じています。まあ、ポーカーについては興味があったらPokerStarsをダウンロードしてみてください。

2 呪文の価値と勝ち筋の選択
 次は、如何に呪文を使用して、どのような勝ち筋に向かっていくかについてです。
 前述したように、Adルートは条件が良ければほぼ勝つことができますが、それでも確定した勝ちをもたらすものではありません。実際、ライフ19浮き1マナやライフ18浮き2マナから勝ちきれずにターンを返したり、ライフがなくなってしまったことがあります。
 非常にレアなケースではありますが、そのような不運が発生する確率は残ってしまいます。そのため、基本的にはPiFルートにより確実に勝てるように考えます。
 もちろんAdをキャストするタイミングもあります。例えば、UW系のコントロール相手にはAdはハンドに来てくれるととてもありがたいカードになります。
 相手のカウンターが複数枚あるため、通常のキルターンである3T目までに勝てない時などにハンドにAdが来ると、土地5枚並べた状態で相手のターン終了時にAdを使うことでカウンターをつり出しつつ、相手のマナを縛り、次のターンに動きやすくなります。
 また、コンボデッキとのマッチにおいても、お互いハンデスなどの妨害を好感し続けた結果、リソースが尽きることがあり、そういったときに、1枚で勝ちまで持っていけるAdというカードは非常に強く、確実にハンドに来てほしい1枚です。PiFでも墓地をリソースにアドバンテージをとることができるのですが、そういった状況でのPiFはAdよりも確実性を欠くうえに、ハンドからキャストしたとしても4マナ+Xが必要となり、概ね得られるアドバンテージはXと同数であり上限が低いため、Adに劣っています。(Tutorが墓地にあるとPiFからそのまま勝ちにつながることもありますが)
 その一方で、対BUR Delverにおけるリソース勝負においてはPiFが大きくリードしています。数枚のマナ加速と数枚のドロースペルがあればPiFはマストカウンターの強力な呪文になります、Adほどのアドバンテージはもたらさないものの、ライフを削ることなくアドバンテージを得られ、かつ、DrSが居なければフラッシュバックにより2回カウンターを使わせることができます。また、フラッシュバックという能力はCabal Therapyにより墓地に送られても相手にプレッシャーを与えることになり、ハンドのリソースを使用せずに相手にFoWを使わせることができます。
 PiFの通常キャストに全力を費やした相手を見ながら涼しい顔でRitualからInfernal Tutor→AdやTutor連打からEtWやToAに繋げられるのです。
 このように、AdとPiFは状況によって強さや用法が大きく変わります。そして、それはANTというデッキに入っているほぼすべてのカードついても同様のことが言えます。
 レガシーでは一般的な話ですが、所謂「ブレストロック」という状態があります。シャッフル手段がない状態で、必要なカードを探しに行くためにとりあえずBSを使ったら、必要なカードもフェッチも見つからずに2Tもアクションが止まってしまう状態です。やむなくPonderでシャッフルしたり、Preordainで2枚をボトムに送ったりということもありますが、何もないとなると2Tを完全になにもせずに終わることになり、それはレガシーという環境においては負けと同義といっても良いでしょう。このようなシャッフル手段の乏しい状態ではBSよりもPonderやPreordainの方が使いやすくなります。
 また、テキストを読めば当然なのですが、Duressは生物を多用するデッキ相手には全く役に立ちません(Elves!などの例外もある)が、Cabal Therapyは相手のハンドを確認する術がないときは非常に扱いの難しいカードになります。その一方で、相手が同じカードを複数枚持っていることがGitaxian Probeなどで確認できるときは、Cabal Therapyは最高のハンデスといえるでしょう。Counterspellが2枚とVendilion Cliqueがあるが相手には3マナしかなく、こちらのハンドにはハンデスが1枚しかないがコンボ始動できる状況で、そのハンデスがDuressであれば相手は悩むことなく通すでしょう。しかし、Cabal Therapyに対して相手はVendilion Cliqueを構え続けることができるでしょうか。相手の視点から見れば、このマッチでとても大事なCounterspellが2枚奪われて仮にVendilion Cliqueが生き残ったところで、こちらが再度コンボパーツを集めなおすまでコンボを阻害し続けるか、非常に厳しい判断でしょう。その前に、このターンを生き延びなければいけないので、Cabal Therapyを通してVendilion Cliqueを構え続けるのが正解となります。しかし、このターン勝てるパーツがそろっているこちらのハンドが見えない状況ではCounterspellを使用してしまう人も少なくないでしょう。そうなればこちらの勝ちです。
このような場面は、ゲームの中で何度も訪れます。一つ一つの呪文がそれぞれ違う価値を持つことを認識し、いまどのような状況にあり、どうされるのが一番相手としては嫌で、自分の勝に近づくのか、対戦を重ねながら検討してみましょう。

3 Keep or Mulligan
 1キルハンドをKeepするかどうかについては確率を予測の項でも述べましたが、そのほかにもKeepを迷うハンドというのは無数にあります。それらをすべて検証するのは何年かけても難しいので、どのような時にKeepし、Mulliganするのか数パターンに分けて検証しておきましょう。
 1)土地が1枚しかないなどマナベースに不安がある場合
  先手で、Polluted Delta,Ponder,Preordain,Dark Ritual,Infernal Tutor,Infernal Totor,Duressというように、妨害排除とマナ加速とTutorはあるものの、土地に若干の不安が残るハンドです。
  パッと見で、土地がほしいからMulliganと言ってしまう人もいるかもしれませんが、概ねこのハンドはKeepです。これも確率の問題になりますが、DeltaからIslandを持ってきてWastelandをケアしたまま1TPonder、2TPreordainと動くことができ、Ponderで4枚、通常ドローで1枚、Preordainで3枚の合計8枚のカードにアクセスできます。これで土地が見つからない確率は、15%程度でしょう。Mulliganした後に6枚に土地が2枚来る確率よりKeepして追加の土地が見つかる確率の方がかなり高くなります。仮にこれがPonder1枚だけでも5枚で約70%、Preordainでも4枚で60%の確率で土地が見つかります。
  相手がわかっている場合に選択が変わる可能性はありますが、このようなハンドは概ねマリガンする理由がないでしょう。
  マリガンすべきは、土地1に対してドロースペルが1枚もなく、コンボが決まる見込みがないようなハンドです。Polluted Delta,Dark Ritual,Dark Ritual,Cabal Therapy,Duress,Cabal Ritual,Past if Flamesのようなハンドは、マナ加速とハンデスがあり、Infernal Tutorを引けば勝てるように見えますが、PiFが邪魔になり暴勇が達成できず、土地かLotus Petalを追加で引き込まなければならないうえに、それらを探す手段(ドロースペル)がない状態で、Keepした場合、勝つまでに何ターン必要になるか想像もつきません。惜しいハンドではありますがMulliganしましょう。
2)ドロースペルと土地しかない場合
Preordain,Ponder,Brainstorm,Ponder,Polluted Delta,Polluted Delta,Lotus Petalのようにほとんどハンドにドロースペルと土地しかない場合。それは個人的には非常に強いハンドの一つであると思っています。
このデッキにおけるドロースペルは潤滑油です。その時その時において見えた複数枚の選択肢の中から最も必要とするカードをハンドに加えることが基本的な目的です。PreordainはDark Ritualにかわり、PonderはGitaxian Probeを経由してCabal Therapyを手に入れて、Brainstormは過剰な土地を戻しつつ次のドロースペルやInfernal Tutorなどのフィニッシュ手段をもたらしてくれるでしょう。
ドロースペルが多いと、それらを消費するのに青1マナを必要とし、上記のハンドであれば消費しきるのに概ね2~3Tはかかってしまいます。それ故、Death&Taxes(Thalia着地する前に勝たなければならない)やBelcher(速度勝負になる)など、迅速にコンボを決めなければいけない相手には最悪の手札になりますが、それ以外であれば非常に良いハンドであるといえるでしょう。例えば、JundがThoughtseizeを使ってきたとしても、何を落としてもその後に必要な別の何かに代わるだけであり、ただの1-1交換をするだけになります。コンボ直前のターンにInfernal Tutorなどコンボを阻害されるカードを落とされるよりもその後のコンボを始動できるまでに持っていく(平均)速度は圧倒的に早くなります。
このような点から概ねMulliganする必要はないでしょう。
 3)ハンデスがないぶっぱハンド
  既に述べてありますが、先手1キルハンドは概ねKeepします。そんなハンドが初手に来る確率は10%にも満たない非常にまれなものです。デッキに感謝しながらぶっぱしましょう。Willがあった?運が良かったと相手を称賛しましょう。
 4)その他
  最初に述べたとおりこの殴り書きの文章では検証できないハンドは無数に存在します。しかし、そのどれもが基本的には確率計算と動きの予測をすることでKeepすべきかMulliganすべきか判断できます。明確な回答の存在しないものもありますが、上述した判断と同様により良い選択ができるように練習しましょう。

4 構築の差
最初に自分が使っているANTを例として紹介しましたがANT(TESを含むかどうかについては議論がある)には複数の類型があるので紹介する。長くなるのでそれぞれのデッキリストについては記載は避けます。インターネットが普及している時代でもありますのでいろいろ検索してみてください。

1)追加Tutor型
Grim TutorかDark PetitionをInfernal Tutorに追加で採用している、おそらくもっとも一般的なANT。Grim TutorとDark Petitionには少しずつ違いがあります。
まずGrim Tutorですが、3マナと軽く、暴勇の必要がないので、特にサイドボード後などに、土地3枚からキャストしてPiFやサイドインしたカードを直接サーチすることができます。しかし、コンボ途中においては3マナと重く、Cabal RitualがないとPiFルートが採用しにくく、また、Adルートにしても追加効果の3点ルーズライフが痛く、Adからめくれた場合は実質6店のライフを失うに等しいという欠点があります。
Dark Petitonは、5マナと重くいためなにかしらの儀式がないとキャストできず、DazeやSpell Pierceに引っかかりやすいという難点があります。また、墓地がないと追加のマナも発生しないため、Rest in Peace(以下RiP)等の墓地対策に引っかかってしまいます。5マナのただのサーチスペルはとても使えたものではありません。その一方で、実質2マナしか消費しないため、コンボの最中においてはGrim Tutorよりもずっと軽く、Infernal Tutorと変わらない、むしろ暴勇の必要がないことからより使いやすい呪文であるといえます。また、Adからめくれたときは5点ルーズとGrim Tutorより1点低いのもポイントです。
それぞれメリット・デメリットがあるのでどのような構築にするかはメタゲーム次第ですが、いまのところPetiton型が現在の主流になっています。
2)16キャントリップ型
自分がANTを構築する上で基礎としている構築です。
追加のTutorを採用せず、ハンデスを6枚まで減らす代わりに、通常2枚程度のPreordainを4まで増量し、ドロースペルを連打してコンボを安定させる型です。
ドロースペルの強さについてはハンデス後の回復速度で説明しましたが、その強みを前面に押し出すかわりに、ドロースペルを使わなければコンボが決まらないため、若干の速度を犠牲にしています。Chalice of the VoidやThaliaなど致命的なパーマネントが蔓延している環境ではあまり良い選択ではないでしょう。
 3)ダブルPiF、Ad型
  奇跡が環境を支配していたころに流行っていた型です。リソース交換になることが多い相手に対し、マストカウンターカードを増やしたり、墓地を積極的に活用することでアドバンテージを得る手段を増やした形です。
  1の型よりも少し速度も上がるが、無駄牌がハンドにたまってコンボ始動できなくなる可能性が高まるなど、わずかに安定性を欠きます。
4)Buring Wish型
Wishを経由することで、ダブルPiF型のように疑似的にPiFを増量したようなアクションをとったり、本来はメインでまったく触れないThaliaなどのパーマネントに対処できる可能性を残す万能型。
速度も、EtWを目指すことにより始動を早くすることもできるし、Burning Wishを経由することで一見何でもできそうに見えるが、最大の欠点はマナベースにあります。
WishからのPiFでRRが必要になるうえに、基本のアクションはUとBを連打しているため、メインからBadlandsは必須であり、2枚目のVolcanic Islandを採用する場合もあります。他の型の場合はIsland→Island→SwampのようなセットランドでWastelandを一切寄せ付けずにアクションできるのに対し、この型ではそれでは赤マナが出ずに色事故を起こしてしまいます。
また、Wishボードと言って、Burning Wish用にサイドボードの枠を使用するため、15枚をフルに使ってのサイドボードの構築ができないのも難点です。
土地に関するプレイ感が他と大きく違い、不安が大きいので、何回か自分でもこの型を使用して試してはいるものの、手になじまずに辞めてしまっています。
5)その他、TES等
  TESというのは、前述のWish型からさらに赤に寄せ、Cabal RitualよりもRite of Flameを優先して採用している、同系統のStormデッキです。一番の違いは速度と勝ち手段で、始動は明確にANTより早くなりますが、安定感はなく、WishからのEtWが勝ち筋の一つとしてかなり積極的に採用されます。EtWが十分な勝ち筋になるような環境であればこの型が正解になると思われます。
  また、ANTのメインにEtWを採用する型もあります。1の追加Tutor枠をEtWに置き換えてメインから若干の無駄杯は増えるものの、始動速度を上げて選択肢を増やして対応力を上げた型もあります。こちらは主に、ANTという形態は変えないまま、EtWへの対応力は低いが2T目までに始動しなければChalice等で一気に不利になってしまう相手に対して有効で、実際、Eldraziが環境を跋扈し始めたころから散見されるようになっています。
 
それぞれ、プレイングから速度までいろいろな違いがあるので、環境と自分のプレイスタイルに合ったデッキを選択してください。

5 サイドボードの構築
 メインデッキだけでなく、サイドボードについても様々な構築があります。こちらはメインボードの様に分類するのが難しいが、入っているカードの目的はいくつかに限られます。

1)相手の対コンボヘイトカードへの対策
  サイド後は相手の対策カードへの対策が必須になってきます。既に何度も名前が挙がっているThaliaやChaliceだけでなく、サイド後はEthersworn CanonistやMeddling Mage、Flusterstorm、Cabal Therapy、etc...様々な対策カードが入ってきます。
  実際にどのようなカードが使われ、如何に対策するかはメタゲーム次第ということになるが、採用するカードは何種類かに分類される。
  A 生物対策
   Pyroclasm、Massacre、Fatal Pushなど、Thaliaをはじめとした白いヘイトベアー(白の2マナ域に多数存在する特定のアクションに対するヘイトの高い生物群)や、最近であればLeovold,Emissary of Trestを除去するために採用される。特に最近はLeovoldの活躍が目立つので、それを除去できるFatal Pushは価値を上げている。
  B 置物対策
   Chain of VaporやEchoing Truth、Hurkyl’s Recallなどのバウンスが最も一般的で、マナベースに無理なくキャストでき、一時的に邪魔な置物を退かしてしまえば1ターンで勝てるデッキなので、バウンスというのは非常に効果的な対策カードと言えます。
しかし、Chaliceのような、そもそもデッキが機能不全を起こし、コンボの始動可能な状況すら作れない置物相手にはAncient GrudgeやAbrupt Decayなど、破壊する効果を持つカードの採用が必須となるでしょう。
  C カウンター対策
   最近は数を減らしてしまいましたが、(Canadian Threshold全盛期など)ANTのサイド後の虫(Xantid Swarm)は対策必至のカードでした。その他、Defence Grid、Hope of Ghirapurなどがありますが、最近はカウンターよりもヘイトベアーやChalice、Therapyの方がキツいためあまり見なくなっています。
2)まったく別の勝手段やクリーチャーの採用
奇跡環境の後期によく見られたのが、一番最初に紹介した自分のサイドボードにも入っている、Liliana,the Last Hopeです。このカードは、相手のSCMやVendilion Clique、Death&TaxesのThaliaなどを+能力で除去しつつ奥義により勝ちまで繋げることができる強力なPWです。DKRを経由すれば1T目にも着地可能で、Infectなど相手にも活躍します。
その他、有名なものとしては除去が減ることから、Monastery Mentorで大量のMonkを展開し、Cabal Therapyで妨害しつつ勝ちを狙ったり、Dark Confidantでハンドアドバンテージを稼ぎつつライフを攻め、他のサイドボードカードへのアクセス力を高めるといったものがあります。
これも奇跡環境に採用されたプランですが、複数枚のToA(と場合によってはPhyrexian Arenaも)をサイドに置き、ロングゲームにあえて付き合い、ため込んだハンドからマナ加速と合わせて複数のToAをキャストし、まるでBurnデッキのように動くというものがありました。(余談ですが、某奇跡四天王によりFlusterstormを本体のToAにあて、ほかのコピーを解決する前に本体を打消してそのまま外科的摘出でToAを抜くことで追加のToAをキャストすらさせないという手段でこの戦術が破られたというのはあまりにも有名)
 3)相手のデッキへの対策
  ANTというデッキがそもそも速度が速く、対策される側にあるため、あまり枠をとられない部分ではありますが、ReanimatorやTinFinsなどのようにこちらより速度が速く、特殊な対策の必要な相手が多い場合はSurgical Extraction、Flusterstormの対策を採用することがあります。

6 誘引、擬態、ブラフ
 ANTを語るうえで、ある程度熟練してくると重要になるスキルがあります。それが、「相手を騙すプレイング」です。
 手段についてはいくつかあります。例えば、前述した先手1キルハンドの場合、最初はPetalからのDKRということで記載したが、何もないところからLEDをキャストしたらどうなるか、相手から見ればドレッジかANTかの予測がつかない。もちろん、DKRからでも相手のWillを誘うには十分だが、LEDからであればPetalからPonderを使用して土地を探してリスタートに繋げることもし易い。他にも、ハンドに土地はあるが、置く前にDKRをキャスト(消さなければハンデス→コンボ開始される可能性が相手はチラつく)し、DazeやWillを誘い出してから土地を置き、コンボを始動したすることもあります。1~3T目はFlooded Strandなどのフェッチランドを置くだけでターンを返し続け、奇跡やBlade Controlに擬態して相手のドロースペルの選択を間違えさせるように動くこともあります。(奇跡ならDazeは不要か、BladeならStoneforge Mysticを除去する稲妻は必要だろう等)
相手からどう見えるか、どうすれば間違った・・・というよりこちらに有利なプレイを誘うことができるか、これは他のコンボ(Show&Tell等)にはあまり見られない技術です。
 相手の視点に立って、相手のデッキを理解したうえで自分の選択をする、まるでゲーム理論のような駆け引きが一つのスキルとしてプレイに役立つのです。

第3章(上級編なんかなかったので〆)
1 議論をしましょう
議論をします。違うな、こうじゃない。議論を、議論をしていただけませんか。議論をし、議論をしたらどうなんです。・・・議論をしましょう。
 正直、上級者向けには言えることがありません。プレイから構築まで、あらゆる状況やメタゲームについて議論をし、様々な意見を聞き、研究しましょう。ANTについて熟達すればするほど、研究と議論に熱が入り、それを繰り返しながら環境を追い続けることで上達していきます。
 ここまでくれば、もうこんな記事はなくてもANTという頂上のない塔を無限の螺旋階段で自然と登ってしまうでしょう。さあ、仲間を作り、プレイを深め、議論と研究に明け暮れましょう。
2 まとめ
 いろいろと解説しましたが、これがすべてではなく、この文章だけでは紹介しきれないプレイや選択が無数にあり、この文章はそれらの回答を明示するものではなく、解決のための基本的な指針を示したものと解していただければと思います。
 ここに記載された考え方や例を基に、経験を重ね、自分なりの結論に至っていただければ幸いです。

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索