古えの禁止カード、《Ancestral Recall》を知らないMTGプレイヤーはほとんどいないだろう。
これまでも、《渦まく知識/Brainstorm》や《祖先の幻視/Ancestral Vision》など無数の類似カードは作られてきた。
その新たな形が《宝船の巡航/Treasure Cruise》だ。

宝船の巡航/Treasure Cruise (7)(U)
ソーサリー
探査
カードを3枚引く。

見た目は8マナ3ドローと全く使えないカードに見えるが、墓地が8枚あれば1マナ3ドローになる。
レガシー大会(BMO、エタフェス)の前に、この新たな1マナ3ドローについて少し考察しておきたい。


1マナで3枚引ける。強い。
最も強い使い方は、手札の消費が早く、ドロソ+フェッチで墓地がたまるデッキで最後の一押しに使うことだろう。
最初に結果を残したのがUR Delverであるのも、この点が最も効果的に反映させられるデッキだからだろう。
《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》《思案/Ponder》《渦まく知識/Brainstorm》から《稲妻/Lightning Bolt》や《Chain Lightning》などの火力に繋げて手札を消費しながら速やかにライフを削るUR Delverというデッキにおいて、必要の無い墓地をリソースにしてカードを得る《宝船の巡航/Treasure Cruise》が弱いわけがない。ほとんど0〜1マナのカードで墓地を肥やしていくため、4T目頃には1マナ3ドローに転換できるだろう。
墓地が7枚という条件をこれまでのレガシーで言い換えると、《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》が3/3被覆で殴りはじめるのと同義だ。・・・なるほど、大体4〜5T目くらいには安定して殴っていそうではあるし、専用の構築をしたUR Delverならもっと早い。
3/3被覆で殴るか、3ドローをするかどちらが良いかと聞かれたら・・・自分なら3ドローを選ぶかな。デッキに3ドローは必須なカードでこそないが、3点クロック以上の価値を生み出す。
一応、墓地が足りなくても土地からのマナと調整して使うことができるのも良い。《祖先の幻視/Ancestral Vision》ほどには使い方やタイミングが限定されていない。

一方、探査の性質上、少なからず墓地を使う必要がある。
無条件に3枚引くことができるカードは《集中/Concentrate》の4マナが適性であり、現実にレガシーで4マナ3ドローが採用されていないことを考えれば、当然ながらそれより軽く使用できなければ採用する価値がない。採用するデッキにも因るが、欲しいタイミングに1〜2マナで使用出来ないのであれば積極的に採用すべきではないだろう。
また、墓地を追放してしまうことによるディスシナジーも忘れてはならない。
《タルモゴイフ/Tarmogoyf》、《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》、《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》、《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》・・・・・・墓地をリソースとするカードは少なくない。これらは《宝船の巡航/Treasure Cruise》の探査能力と墓地を食い合うことになるため、共存が難しくなる。
逆に、《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》は相手の探査を阻害する助けにもなる。墓地が足りずに止むなく自分の墓地を食うこともあるが、多くは相手の墓地をエサに能力を起動することになるので、KTK後の環境ではさらに重要性が増すと考えている。
墓地の食い合いで特に問題となるのは緑系のテンポデッキだ。《タルモゴイフ/Tarmogoyf》と《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》といった墓地を使う生物を多様するため、元々サイドボード後に《安らかなる眠り/Rest in Peace》の様な致命的な墓地対策が採られることが多いにも関わらず、それを採用するような中速以下の白系デッキに対して重要なアドバンテージ源となる《宝船の巡航/Treasure Cruise》がその被害を受けてしまっては意味がない。

また、ゲームの最序盤に手札にあっても使うことができない。
アドバンテージ手段として採用することは出来ても、デッキの潤滑油になるわけではないので、構築においてかなり注意が必要となる。

以上のような点から、《宝船の巡航/Treasure Cruise》は、手放しで採用して強いカードではないが、適切なデッキに適切な構築をして組み込むことで活躍できる、強力なアドバンテージ獲得手段であるといえる。

特に、多い手数で攻め、手札の消耗が激しいデッキにおいては有用であるが、中速デッキではドローできるようになるまでに時間がかかり、ドローしてもそのアドバンテージを有効に使うことができないため、強いとは言えない。

また、手数の多い、所謂テンポデッキで、強力なアドバンテージ源として《宝船の巡航/Treasure Cruise》が積極的に採用されるようになると、《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》デッキやBUG続唱などの中速デッキのライフを守りながら小まめにアドバンテージを得て勝つプランの強みが相対的に減少する。
特に、不要牌を捨てられた上で一方的にアドバンテージを得られてしまう《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》の価値が大きく落ちる。もちろん、自分が《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》と《宝船の巡航/Treasure Cruise》を採用する可能性も検討の余地はあるが、その挙動がそもそも中速寄りな考え方であるため、《宝船の巡航/Treasure Cruise》を適切に使いこなすことが難しい。

《宝船の巡航/Treasure Cruise》の参入は、テンポ〜中速デッキのメタゲームを大きく動かす一石になる。

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